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コラム


▼ 誰にも聞けない夜のこと…人気ライターの連載コラム

[椎名こゆり]桃色のしずく

第7話 雨の夜(前編)

前回のあらすじ

リオはホテヘルの仕事で客とトラブルを起こし、落ち込んでいた。そのまま帰ることもできず、また高森さんのバーに行ったけれど、悲しさは消えない。泣きそうになっていたリオに優しく声をかけてくれたのは、えりかさんだった。どうしてこんなに優しくしてくれるの?とまどいながらも「ありがとう」と言えなかった。


でもあたしのことを全く意識してないとも思えないし

お昼過ぎになって目を覚ますと、携帯にメールがきていた。

「おはよー。昨日はせっかく来てくれたのに手が空かなくて全然話せなくてごめん。

少し元気なさそうに見えたから気になったんだけど。

えりかと話し込んでたみたいだったから、 男がしゃしゃり出ても仕方ないかと思って。

でも、もし何かあったらいつでも相談するんだぞー」

高森さんはどうしてこんなにも「うまい」んだろう。

もしこういう人とつき合ったら、 泣き叫んだりブチギレたりしないで(別にこれまでいつもキレてたわけじゃないけど)、恋ができるんだろうか。

それともそうでもないものだろうか。

高森さんとえりかさんが特別な関係だということはもうわかっていたし、 奪おうとしてるのかというと正直、そこまで自信はなかった。

でもあたしのことを全く意識してないとも思えないし、

彼のことはやっぱり好きだと思う。

どんなカッコいい人にも必ず味わされるイライラが、彼にはないのだ。

お客さんとして知り合ったときも、それから後も。

そのぶんちょっと、かなり、ズルい人ではありそうだけど…

それさえも許せてしまいそうになる。

手帳を開いてスケジュールを眺めた。

タイミングよく生理休暇なので、あの店にしばらく出勤しなくていいのは気がラクだ。

ぼーっと指先を見ながら、昨日えりかさんに爪をホメられたことを思い出した。

「これ、ジェルネイルってやつ?」

「そうだよ」

「いつもちゃんときれいにしててえらいね…って言い方は、少し失礼か。
ステキね」

もうこれ根元が伸びてムリだからあんまり見ちゃダメ、 と言っても、 子どもみたいに近くで見たがってにこにこしていた。

えりかさんはネイルどころか指輪もつけていない。

もしあたしがその容姿に生まれてきたなら、とても考えられないことなのに。

けれどなにもしない素の爪の色が、彼女の白く長い指にはなぜか映えるのだった。

とりあえずネイルサロンに予約を入れよう。美容院にも行かなくちゃ。

そうやってあっという間に生休が過ぎてからも、あたしは店には出なかった。

このまま辞めてしまうのかな、たぶんそうなるな…と思っても、どこか他人事だ。

そんな風俗ならではの気楽さに今は甘えようかな、とのんびり過ごしていた。

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ライター紹介

椎名こゆり(しいなこゆり)

椎名こゆり(しいなこゆり)

現役風俗嬢。
小説・エッセイをweb上やスポーツ新聞などで発表している現役風俗嬢。深い洞察眼から生まれる繊細な表現にファンも多い。

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