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コラム


▼ 誰にも聞けない夜のこと…人気ライターの連載コラム

[椎名こゆり]桃色のしずく

第8話 割れたコップ(後編)

何もかもを忘れて楽しそうにしようとしたけれど、

でも「痛くない?」と言われた瞬間、やっぱりえりかさんのことが思い浮かんでしまう。

息を止めて目を閉じて、その部分にだけ集中する。

優しくなんかしてくれなければいいのに、乱暴にされたっていいのに…

最後に離れるときまで、優しかった。

終わって腕まくらをされていても、えりかさんがいない、ということがぽっかりと浮かんで、あたしたちを見下ろしていた。

「…どうしてるのかな」

「…あいつのこと?」

「あたしだって、心配っていうか…

愛してるんでしょう?」

「愛だなんて、言っていいのかわからないけど」

大げさかもしれないけど、なぜか今はそんな風に言葉が出たし、彼は真剣に答えてくれた。

「何だかさ……いつも使ってたコップが割れちゃった時みたいなね。

ああやっぱりあれでないとダメだったのか、って。

だったらもっと大事に使えばよかったけど、でもコップを大事にするもなにも、っていう」

なんとなく、わかる。

「あたしはどういうコップ?」

「えー、リオちゃんはね。
そうだな、シャンパングラス」

「何それー。なんか、めったに使わないっぽい」

「おっ、この贅沢ものっ。高いんだぞ、いいヤツは」

「まあ湯飲みじゃないだけいっか。
じゃあピンクのシャンパン入れてくれたらいいよ。あとイチゴとか」

そんなことを笑って言い合いながら、高森さんがあたしをぎゅっと抱きしめて言った。

「ありがとう。

リオちゃんがいてくれて、よかった」

あたしの心に罪悪感が生まれたならと気にして言ってくれているのか、それとも…ううん、どっちでもいい、そんなこと。

「あたしも…楽しかったよ。早くメール来るといーね。 おやすみっ」

そう言ってさっと顔をうずめた。

涙が出そうだったから。

これが、今のあたしの、幸せなんだと思う。

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ライター紹介

椎名こゆり(しいなこゆり)

椎名こゆり(しいなこゆり)

現役風俗嬢。
小説・エッセイをweb上やスポーツ新聞などで発表している現役風俗嬢。深い洞察眼から生まれる繊細な表現にファンも多い。

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