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コラム


▼ 誰にも聞けない夜のこと…人気ライターの連載コラム

[椎名こゆり]桃色のしずく

第10話 街路樹(前編)

前回のあらすじ

今までのホテヘル嬢とお客さんという関係を超え、高森さんと一夜を共にしたリオ。ベランダから外を眺めていたら、そこには2人の前から姿を消したえりかさんが立っていた…。目が合い、去ろうとしたえりかさんを呼び止め、慌てて部屋を出たリオ。部屋では高森さんがまだ、眠っていた…。


もう泣いちゃダメだと思った…

ゆっくりと自転車を押して歩くえりかさんの隣で、あたしは中学生の時のことを思い出していた。

そのころつき合っていた、といってもまだ全然たいしたことはしてない男子と、一緒に帰っていた時のこと。

彼の自転車の後ろに乗りながら、微妙に胸を背中に押しつけるような動きをしてたなぁ、って。

今思うとバカバカしいし恥ずかしいし、ちっとも意味がわからないけれど、なぜだかその時は、そういうことをしてたんだ。

負けたくない。

そんな感じだった。何に負けたくなかったんだろ。

うまく言えないけど、あたしが女だってことで、誰かを降参させたいような、そんな気持ち。

変なの。

でも、その気持ちは今も、あたしの中で生きているような気がする。

「なんか飲みたいな。お茶買ってっていい?」

えりかさんがそう言って、あたしたちはコンビニに入った。

普段は水しか買わないけど、一緒にあたたかいお茶にした。

素足で走った冷たさが、まだ少し残っていた。

「リオちゃんて、お酒じゃなかったら何が好きなの、飲み物で」

「えっと、けっこう水しか飲んでないかも……アルコール以外だったら」

「酒か水だ!かっこいいなあ」

えりかさんに「かっこいい」と言われるのは、ものすごく変な感じがした。

お正月に着物を着せてもらった小さな子供が、美人さんだねぇ、と言われているような感じ。

そしてなにより、明るく普通に話しかけられることにとまどった。

うまくいっていないとしても、あたしはあなたの男の部屋にいて、そういうことをしたというのに。

……それも、1円ももらわないただのセックスを。

そもそもあたしが風俗嬢で、高森さんとはそういう知り合い方をして、ということも、一体どこまで知っているのだろう。

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ライター紹介

椎名こゆり(しいなこゆり)

椎名こゆり(しいなこゆり)

現役風俗嬢。
小説・エッセイをweb上やスポーツ新聞などで発表している現役風俗嬢。深い洞察眼から生まれる繊細な表現にファンも多い。

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