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コラム


▼ 誰にも聞けない夜のこと…人気ライターの連載コラム

[椎名こゆり]桃色のしずく

第11話 開かない扉(後編)

少し、沈黙があった。

そうよね、リオちゃんは子供じゃない、とつぶやいてえりかさんは話しはじめた。

必要最低限の言葉を、塾の先生のように。

「病院に行ってからやっぱり体調が悪かったの。

連絡しないつもりでもなかったけど、会いたくなくて。

勝手だけど」

「……病院?」

「最初はね、……産もうと思った。

そうしなきゃいけないって思い込もうとした。

年のこととか持ち出したりしてさ」

「あ……」

「でもね、気がついちゃったから…

…あいつが、喜んでないことも、

それを知って自分が…

…ホッとしたことも」

さっきまであったことのすべてが、えりかさんの言葉が増えるごとにすごいスピードで過去へ飛んでゆく。

「勝手言うとね、リオちゃんには、思ったとおりにしてほしいの。

あたしたちに起こったことに、惑わされないで。

それは、あたしとあいつの組み合わせだから、起こったことなの」

「……あんな男はダメって、言わないの?」

「そんなこと、言われたい?……あたしに」

「ごめんなさい」

「それにきっと、誰でもみんな……それぞれ、ダメな人間なのよ。ね」

ほんの数時間前のこと。

高森さんが、ちゃんとしようと言ってコンドームをつけたとき。

あたしは優しくされたと思った。

でも同時に、もしかしたらそれ以上に、「きみはここから先には入れない」と扉を閉められたようで、悔しかったんだ。

あたしは、ほんとうの、子供だった。

「えりかさんが男の人だったらな。

あたし、えりかさんみたいな人を好きになればいいのにね、そしたら、幸せになれるのにね」

半分は冗談めかして言ったけど、幸せという言葉は口の中に残った。

「なれるよ。

今だって、ひとりだって、なれるよ。

そしたら誰かと、ふたりだって」

あたしは今度は、ぽろぽろと泣いた。

結局、泣いた。

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ライター紹介

椎名こゆり(しいなこゆり)

椎名こゆり(しいなこゆり)

現役風俗嬢。
小説・エッセイをweb上やスポーツ新聞などで発表している現役風俗嬢。深い洞察眼から生まれる繊細な表現にファンも多い。

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