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コラム


▼ 誰にも聞けない夜のこと…人気ライターの連載コラム

[椎名こゆり]桃色のしずく

最終話 花が咲くとき(後編)

やっぱりあたしはこの人のことを好きだったんだ、と今までのどんな時よりも確信した。

それがよくわかるのは、もう、終わっていくステップが始まっているからだろう。

なんだってそうだよ、離れればよく見えるんだ。

不思議だった。

泣くほど好きだと思っていたあの瞬間よりもずっとずっと、彼という人間を理解しようとしている自分がいた。

そして少しは、理解できるような気も、していた。

その優しさも、そのズルさも。

でもね、高森さん。

あたしは、ヤラれて捨てられた女になったって、ちっとも傷つかなかったよ。

だからそんなに、守ってくれなくていい。

そんなに、あなた自身を守ることも、しなくていい。

あたしはあなたを傷つけない。

そう言う替わりに、精一杯、今度はあたしが笑顔を作った。

「またそのうちさ、来るよ。いいよね」

「ああ、当たり前だよ。おいで。元気な顏、見せに」

「ふふ、じゃあ彼氏できたら連れて来るわね、おとーさん」

「まじか。そん時はサービスさせていただきますよ、しょうがねえ」

「よっしゃ。ピンクのシャンパンおごってよ、ふふ」

高森さんのお店から、えりかさんの描いたあの暗く、きれいな絵がなくなった。

それはあたしのものになった。

切り株のように森に横たわる髪の長い女。

地面を這う髪の毛から葉っぱが出て咲いた花。

降りそそぐ雨。

真っ暗闇を切り取った絵が、今はあたしの部屋の窓辺に浮かんでいて、それだけでひとりの夜もなんだか心強く感じられるようになった。

それをときどき裏返してみる。

「もちろん。ていうかね、リオちゃんが持っててくれたら嬉しい」

譲ってほしいと思い切って言ったあたしにえりかさんが渡してくれたとき、

どうしてもとせがんで書いてもらったメッセージ。

- 美しい花が咲きますように erica -

あたしはこれから、花の咲かせ方を探しに行くんだ。

彼氏ができるとか結婚できるとか、そういうのと別の場所にあるもの。

それをきれいだって言ってくれる人が、どこかにいるかもしれない。

その頃にはきっと、あなたにもまた会えるよね。

絵の中でそっと微笑む人は、きっと頷いてくれている。

– 完 –

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ライター紹介

椎名こゆり(しいなこゆり)

椎名こゆり(しいなこゆり)

現役風俗嬢。
小説・エッセイをweb上やスポーツ新聞などで発表している現役風俗嬢。深い洞察眼から生まれる繊細な表現にファンも多い。

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